■南米からのゲスト■
アウキ・カナイマ・ティテュアナ氏
Auki canaima tituana
エクアドルより / De Ecuador
選挙戦への出初式・中央
家族や支持者と一緒に
 
 
レインボーは先住民のシンボルカラー。
多様性を表す。
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キチュア語で、”自由の闘士”という意味の名を持つ。
1492年以降、スペイン人の南米への侵略から始まる500年の歴史の中で、エクアドル先住民の社会は崩壊し、多くの命が奪われ、その政治制度、経済制度、宗教、言語は、全て変えられてきた。これに対して先住民族は、非暴力の平和的な抵抗のなかで、土地を求めて闘い、先住民族自らを再生させるための作業を黙々と続けてきた。その結果、この20年で先住民族の政治参加と権利回復は急速に進み、エクアドルの人口1,200万人のうち42%を占める先住民族の中から議員や自治体の首長が出始めるようになっていた。

「盗んではいけない。嘘をついてはいけない。誠意を持って生きよ」というキチュアの教えを大切にするこの31歳の若き知事の仕事ぶりは迅速で、彼の存在がインタグの森にとって重要な意味を持つようになるまで、そう多くの時間はかからなかった。

キューバのハバナ大学に留学した後、エクアドルの大学で経済学を教えていたアウキは、経済の仕組みや政治制度を、西洋の社会や文化に統合される形ではなく、自分たちのアイデンティティを失わずに構築することが重要だと考え、より人間的で、環境に配慮した社会を作りたいという情熱を抱いていた。
1996年に先住民族キチュア出身としてはじめて群知事に選ばれる。社会、経済、文化、環境のあらゆる面での持続可能な発展および他民族、多文化の市民としてアイデンティティーの強化を目指し、リーダーシップを発揮する。
 
■アウキプロジェクト:民衆議会 - すべて世代、人種に平等な権利
知事に就任したアウキは、他に例がない徹底した参加型民主主義を実践する。草の根民主主義とも称されるその取組において、アウキは誰もが参加できる政治を目指し、皆にこう呼びかけた。「民衆議会に来てください。直接、話をしましょう。あなたたちは、どんな開発、発展、町づくり、郡づくりを望んでいるのですか。皆の意見で、それをつくっていきましょう」と。
年に1回、選挙で選ばれる議員の議会とは別に、1年に1回、誰もが自由に参加できる民衆議会を開催した。最初の年は250人の住民が集まり、環境、衛生、健康、教育など、様々なテーマの委員会が設けられ、年ごとに参加者は増えていく。
これにより民衆の発想はガラリと変わる。これまでは、知事のまわりに議員がいて、その議員たちが考え、決めたことに、民衆は受動的についていくという状況だった。
しかし、アウキは明言した。「決めるのはあなたたちだ」と。「自分たち(知事、議員)は、市民が手に入れにくい専門的な情報を提供する責任を負う。しかし、最終的に決定するのは、あなたたちだ」。

もう一つの民衆議会の際だった特徴は、年令に制限が無く若者や子どもたちも参加できるということ。「子どもであっても、考えは持っている。どんな未来に暮らしたいのかというビジョンを持っている。しかし、ただ要求するだけでなく、青年、子どもたち自身がそれに向けて実際に活動するということが大事だ。民衆議会というのは、ただ要求を言うだけではなく、1年間に自分たちが何を行ってきたのか、その活動を自分たちで評価し、これから何をしていくのかということを考える場である。今までは、議員らに全てを任せてきたが、これからはそうではない。民衆が主人公で、自分たちが決めたら、それを自分たちで実行していかなければならない。」
さらに、アウキは「私は、君たちに約束(公約)をしている。もし、私がそれを守れない場合には、君たちには私をリコールする権利がある」と語り、自らの決意を伝えたのだった。(「エコロジーの風」より)

 
■アウキプロジェクト:「生態系保全都市宣言」
アウキ知事は、農業・牧畜業・手工業・エコツーリズムといった事業に重点をおく。その最大の理由はそれらが持続可能な産業だからである。長期的に続けることができ、エクアドルの他の地方で推進されている石油開発や鉱山開発で見られるような環境破壊を引き起こす心配がない。「生態系保全自治体宣言」に基づく改革は、経済発展と環境保全の両立を可能にし、住民の経済基盤の成長につながる。
現在、エクアドルコーヒーの生産地、インタグ地方では重大な鉱山開発の問題が起きている。
今の鉱山開発問題に関して
■趣味:詩を読む、歌を歌う、サッカー・・・
参考:「エコロジーの風」、「エクアドル環境読本」、2004年現地でのインタビュー
パトリシア・モグエル
Patricia Moguel
メキシコより/De Mexico

 
トセパンの人々
 
 
 
 
 
 
 
 
 
チョアカン州ラテンアメリカン大学教授、エトノエコロジア主要研究員、トセパン・ティタタニスケ地域農業共同組合アドバイザー
1956年、メキシコ生まれ。

社会派の弁護士であった父の影響から、幼い頃より社会問題や環境問題に触れながら育つ。

高校卒業後、中東やヨーロッパを旅し、地元の人々や自然に触れ、各国の社会状況を目の当たりにする。帰国後は大学へ進学し、生物学を専攻。その後、アグフォレストリー(森林農法)に基づく有機コーヒー栽培や先住民族の研究に従事する。

メキシコにおけるアグロフォレストリー研究の第一人者であり、国内外で講演を行いながら、アグロフォレストリーの環境や地域文化に対する重要性を広く訴えるとともに、コーヒー生産国が抱える貧困等の社会問題にも積極的に取り組んでいる。

現在は、先住民ナワット族の有機コーヒー生産者グループ「トセパン・ティタタニスケ地域農業共同組合」と共に、アグロフォレストリーによるコーヒー栽培と持続可能なコミュニティづくりのプロジェクトにアドバイザーとして関わり、現場で、実践的な情報を提供している。また、このプロジェクトは、2003年よりトヨタ環境活動助成プログラムから助成を受けている。
私生活では二児の母でもある。
●パトリシア・モグエルとの出会い
●パトリシアからのメッセージ
「分かち合い」「協力」「尊敬と連帯」
遠い昔から引き継がれる伝統、文化としてのコーヒー栽培

 世界で最初に有機栽培のコーヒーを生産したのはメキシコです。有機栽培の生産システムは、地域レベルで見ても地球レベルで見ても、環境に対して多くの利益をもたらしています。例えば、生物多様性の保全、土壌の保全、気候の改善、地球温暖化の影響の削減、洪水、火災といった自然災害の軽減などです。また、有機栽培コーヒーの生産は、毎年300万人の雇用を生みます。例えば、有機栽培でコーヒーを生産する場合、慣行栽培よりも多くの土地を耕作する必要があり、平均して1ヘクタール当たり160日間の雇用が必要となるのです。

 しかし、メキシコでの有機コーヒー栽培には、環境への優しさや、お金や雇用を生むこと以外にもたくさんの重要な意味を含んでいます。そこには、様々な文化や信念、そして知恵や知識が凝縮されており、社会や文化面から見てもその利益、恩恵は計り知れません。 メキシコでは、約32族もの先住民がコーヒー生産に従事しており、彼らはそれぞれに伝統や慣習、代々受け継がれてきた人生観などを持っています。つまり、コーヒーの生産地では、それぞれの先住民族が織りなす文化の多様性を見ることができるのです。
 先住民族が伝統的に行ってきたアグロフォレストリを維持し、その生産物であるコーヒーをフェアに取引することは、単に生物多様性や環境を保全しているというだけでなく、先住民族が守り続けている文化の多様性を保護することにもつながるのです。そして、この文化の中には、「分かち合い」、「協力」、「尊敬と連帯」といった言葉に代表される先住民の考え方や姿勢も含まれています。 近頃、メキシコでは、生物多様性の保全に関してその重要性を指摘する研究者は多くいます。しかし、こうした文化の多様性に目を向けている研究者は少ないのではないでしょうか。重要なのは、生物だけでなく、先住民族たちの文化の多様性をいかにして守り続けていくかということなのです。
 そして、これができるのは、フェア・トレードやこれと似たような取引(自由貿易に取って代わる貿易)によるものだと思うのです。そのためには、生産者と消費者の連帯を築くことが必要です。生産者と消費者がお互いの立場を理解し、協力することが大事なのです。 私は今回、ウインドファームの中村さん、岩見さんと一緒に2つの生産者グループを訪ねました。彼らは、常に「協力し、分かち合う」という姿勢を大切にしていました。彼らのこうした姿勢は、フェア・トレードに取り組む上で、また、さまざまな社会問題と闘っていく上で、とても大切な考え方だと思っています。
 
 今まで述べたように、コーヒーの有機栽培には、生態系や環境だけでなく、先住民族の文化や信念をも持続的に守り続けていこうという姿勢が含まれています。そこで私は、このコーヒーを確信を持ってこう呼びたいと思っています。"サステイナブル(持続可能な)コーヒー" と。
 これには、次に述べる4つの要素が含まれています。まず環境の豊かさ、2つめが生活や人生の豊かさ、そして3つめが生産物の質の高さ、4つめが精神的な豊かさです。この"サステイナブル"という考え方は、とても大切なことなので、ぜひ皆さんに知っておいていただきたいと思うのです。
 今後は、研究のみならず、消費者の立場にある中村さんとともに、協力しあい、同じ経験を分かちあいながら、メキシコの生産者と日本の消費者のみなさんとの連帯を築いていきたいと思っています。それが、私の夢なのです。 (「エコロジーの風」より)
アルバロ・アギラル=アヨン
Alvaro Aguilar Ayon
メキシコより/De Mexico

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
有機コーヒー生産者グループトセパン・ティタタニスケ地域農業共同組合 技術アドバイザー兼顧問

1952年メキシコ生まれ。

大学院で農学・農村開発を学んだ後、メキシコ各地で農村開発に携わる。この間、中南米の他のコーヒー生産国で、コーヒー生産や地域能力開発などのコースを受ける。1980年よりプエブラ州ケツァーランにてトセパン組合の設立に中心的に関わり、現在までアドバイザーとして組合の持続可能な発展に向けた取り組みを行ってきた。組合内では、アグロフォレストリーの有機コーヒー栽培を中心に、香辛料やキノコ栽培など生産活動全般に関する技術指導も行っている。

ナワット族の組合の中にあって唯一のメスティソ(スペイン人と先住民との混血)だが、組合の運営において中心的な役割を果たしており、組合の代表者と同じく、組合員から非常に厚い信頼と尊敬を得ている。

2003年からは、パトリシア・モグエル氏の協力を得、これまでのさまざまな活動に加えて環境教育やエコツアーのプロジェクトを開始。その拠点となる教育センター”カイタルクスペタニロヤン”が2004年に完成した。
トセパン・ティタタニスケ地域農業共同組合】
1977年、メキシコ・プエブラ州で結成された先住民ナワット族による生産者組合。組合名であるトセパン・ティタタニスケは、ナワット語で「団結と協力が幸せへの道である」ということを意味する。5,800世帯にも及ぶ組合員は、組合本部があるケツァーランの町を中心とした7地域66のコミュニティに暮らしている。総組合員数はおよそ30,000人に及ぶ。この一帯には、熱帯雲霧林と呼ばれる生物多様性の豊かな森が広がり、伝統的に「アグロフォレストリー」によって有機コーヒーや果樹が育てられてきた。
組合が結成されて以来、トセパンはコーヒー栽培をベースに、香辛料、キノコ、ナッツ、果樹等の作物栽培や畜産なども行ってきた。特徴的なのは、これらの活動が、地域内で資源をすべて循環させて行われているということである。またトセパンでは、組合設立当初から女性たちが組合の活動に活発に参加してきた。作物栽培や畜産に従事するだけでなく、女性が主体となって、パン屋、トルティーヤ(とうもろこしの粉を使ったメキシコの主食)製造、日用品店が運営されており、女性の自立を目指した多様な活動が積極的に行われている。
また、1999年には組合独自の共同金融機関「トセパントミン」を設立。地域内に43の事務所を設け、組合員に貯金やローンなどの金融サービスを行っている。貯金は、組合内のプロジェクト支援や、農作物栽培に必要な資材購入に用いられている。また同時にこの貯金は、組合員個人がローンとして利用しやすいシステムになっている。トセパントミンは、この機関を通して、組合員たち全員が生活保障を得られるようになることを目標としている。
トセパンの組合員主体の多様で持続可能なコミュニティづくりはメキシコ国内でも高く評価されており、1995年に「Sフォーレスト賞1995」を、2001年には「環境賞2001」をメキシコ政府から受賞している。
ナワット族に受け継がれてきた「連帯」、「協力」、「分かち合い」という考えのもと、近年は、これまでの活動に加え、環境教育やエコツアーなど新しいプロジェクトにも取り組んでいる。
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