インタグ地方フニン村  どんな場所?

 

 エクアドル・インタグ地方・フニン村

 

 雲霧林をいだく多様な生態系


 エクアドルのアンデス山系における森林地帯は、インタグ地方のトイサン山脈、パソアルト山脈、ラプラタ山脈に集中している。首都キトから北へ80km,エクアドル北部・インバブラ県コタカチ郡インタグ地方。アンデス山脈西麓のこの地域は、世界でも珍しい生態系、最も生物多様性豊かな森といわれる雲霧林を有し、保全の必要性が高い地域として認知されている。


 フニン村( Junin / 38世帯、人口300名)は、「世界十大ホットスポット」(ホットスポットとは、地球上で特に生物多様性が豊かでありながら、絶滅危惧種が数多く生息し、危機に瀕して緊急な保全の必要があるとされる地域の生態系)のひとつ「コタカチーカヤパス生態系保全地域」(204,420ha)からわずか4〜5キロ地点にある原生林地帯に位置し、保護区の緩衝地帯を成している。緑に覆われた険しい丘陵と、太平洋に流れ込む無数の急流によってえぐられた峡谷。太平洋からは毎日、内陸に向かって重く湿った雲がゆっくりと上っていく。そして、白く光る無数の急流はその雲がもたらす水を再び海へと還している。


 インタグ川の流域では今世紀になってから大規模な入植が行われた。牧草地やバナナ、パームヤシ農地造成などのために元の亜熱帯林の90%がなぎ倒された。現在も一部の地域住民による農地の拡大のため、これらの貴重な森林地域の破壊、土壌流出が続いている。わずかに残された森林は、地域固有の種や絶滅の危機に瀕する種を数多く擁している。

 どんな人が住んでるの?

 コタカチ郡は、先住民の比率が約50%と高い地域であるが、インタグ地方の住民のほとんどは入植者であり、ヨーロッパ系の人々と先住民、もしくは黒人の混血である。現在でも入植者の移住は進んでいる。フニン村も例外ではなく、約50年前に、エクアドルの沿岸部エスメラルダスやコロンビア、コジャヘ、キトなど様々な地域からの入植者が集まりできた村である。団結して畑を開墾し、土地などを出し合って小学校を作り、と、助け合ってこの地域に暮らしを根付かせた。

 2つの透明な川

 子供たちに地図を書いてもらうと必ず描かれているように、フニン村は、フニン川とチャグワヤク川の2つの透明の川に挟まれた土地である。鉱山開発によりフニン川が汚染されたことについて、ビクトル前村長はこう語っていた。「川の水は人間ばかりでなく、ここに棲む動物の基本線、飲み物であり、食べ物である。鉱山開発では川に注ぎ込む全ての水源が汚染されてしまった。」

 エコツーリズム

 村に隣接した二次林の中に約20人が宿泊できる竹と木材のキャビンがある。蘭や野鳥の宝庫である原生林と、この村に起きた鉱山開発、そしてそれに代わるコーヒー栽培などについて紹介するエコツーリズムのプロジェクトに、22世帯、37人が参加している。現地NGOデコインが9000ドルの費用で、木材を提供した。6月から10月頃までが乾期であり、エコツアーを組みやすい。主婦が料理の勉強をしている。 キャビンは一泊25ドル。食事や運輸、ガイド等、一日の観光にかかる全ての経費が、ここには含まれている。そして、アテンド代表者、ツアーガイドにはひとり6ドルが支払われる。一日料理を担当する3人の女性には、4ドルが支払われる。残りはすべて、キャビンにかかる建築費や、保護林の購入のため、プロジェクトに貯蓄される。

 コミュニティー・フォレスト


 コミュニティーで森を買いすすめている。山の上の水源地でもあり、環境だけでなく水の保護もできる。インタグのコミュニティーには水に関する問題があり、デコインが水源地を買う資金を与えている。エコツアーのためにも、森を増やす必要がある。銅山開発問題、環境、森を守る知識を蓄積する必要がある。銅山開発を狙って、外部から土地を買っている人間がいるので、できるだけ多くの土地を共有地にしたい。コミュニティーの名義にすれば、政府も土地を取り上げにくくなる。水源地を保護すると、植物の多様性があるのでシードバンクにもなる。

 土地利用と問題点

 インタグは、急峻な斜面で構成される山岳地域にも関わらず、トウモロコシ等の農作物が大規模に栽培され、土壌保全への配慮が不十分と言える。その上、農地がどんどん拡大されているために土壌流出や土砂崩壊が激しくなっている。特に雨期には土壌の流出がひどく、土壌保全型の営農技術の導入が課題だ。

 また、焼き畑農法が大きな問題となっている。伝統的な焼き畑とは異なり、人口密度の高い地域での焼き畑は土壌に負荷をかけるだけである。特に乾季から雨期への季節の変わり目は、駆け込むように焼き畑が行なわれ、森のあちらこちらで煙が上がる。
 主に以上の2つの原因により、この地方の地力は低下している。周辺の地域では森林伐採に起因する水資源の減少も問題とされている。

 薬草

 前村長のビクトルは薬草に詳しいことで有名だ。「みんな、病気になるとまずビクトルさんのところにいく。5歳の息子のジェフェルソンが病気になり日曜日に会った時にたずねると、すぐに「これとこれが効くだろう。」と2種類の薬草を紹介してくれた。草を丸ごと煮立て、最後に子供が飲みやすいように黒砂糖を入れる。父が病気になった時にも、薬草を使い、彼だけが治すことができた。蛇に噛まれた時や、腹痛、吐き気、彼は全ての薬草について知っている。彼が見れば、この村にある雑草が全てなんらかの薬なの。」

 協力 


 村びとは何かにつけて話し合いをもうけ、行動をする際もいつも協力しあう。村にとって大事なことをきめるときはいつも、小学校などに集まる。週末は村の広場に集ってみんなでバレーボール(サッカー)をする。普段は険しい地形を隔てて離れて住む人々は、そこで顔をあわせ様々な情報を交換。だから年頃の女の子は、みんな念入りに化粧をしてバレーボールに出かける。

ミンガとは日本にも昔の共同体にはあった、結いのことである。種まきや収穫期、広い土地を一度にならしたい時など、家族だけでは人手が足りない場合に、村の仲間を集めてする共同作業である。これは農業だけにとどまらない。他にも、橋をかける時、キャビンの掃除をする時など様々だ。収穫等の農作業の場合、女たちが揃ってごちそうを作り、男たちが畑に出る。ミンガの食事には、なんとなく肉を出さないといけない雰囲気があるらしく、鶏が何羽か必要になる。

 

 病院費と距離の問題


 村から一番近いガルシア・モレノの医者までは車があっても2時間、オタバロの総合病院までは8時間ちかくかかってしまう。ある村びとが目を鶏に突かれた時は、ガルシア・モレノまで4時間歩き、そこからトラックでキトの病院まで行って診察をうけた。手術を受ける場合、キトまで行く必要があるようだ。しかし、せっかく遠くの病院までたどり着いても、長く入院することが出来ず、すぐに追い返されてしまう。教育についても言えることだが、都市と村の内部の物価水準が大きく異なるために、入院費を払えないのだ。原因不明の病気でキトの病院にいったある村びとは、その原因が究明される前に、村へと返されてしまった。

 鉱山のうた

1992年に日系企業の鉱山開発問題が起きた時に村びとが作り、今でもよく唄われるうた。

Como en Zaruma acabaron y en el Oriente tambien
Piensan que en el Occidente tambien lo pueden hacer.
Estan muy equivocados eso no podrian hacer,
Porque la Zona esta unida y la vamo ヤ a defender
A las empresas mineras les padimos que se vayan
Dejen libre nuestro aire nuestros rios y laderas
Les pedimos que se vayan y no vayan a volver
Porque si vuelven !carajo! les volvemos a encenderノ.
Porque si vuelven !carajo! les volvemos encender

日本語訳
「ちくしょうここから出ていけ」
滅ぼされたサルマや東でのように
彼らは西でもそれをできると考えている
彼らはとても間違っている
そんなこと 出来るわけがない
それはこの地域は連帯しており
その俺達が守ってゆくからだ
鉱山者達には
帰ってもらわなくてはならない
俺たちの空気を、川を、そして山肌を
自由にしておいてくれ
ここから出ていけ、二度と戻らないでくれ
もし再びあらわれたら ちくしょう! 
もう一度火をつけてやる
もし再びあらわれたら ちくしょう!
もう一度火をつけてやる
(ホルヘ・ルイス・ペレイラ)

 家畜


 ほとんどの家が、食用、病気等のための貯蓄用に豚、鶏、たまに牛などの家畜を飼っている。子供たちは鶏と遊び、一日に2回エサをやる。その一方、食べる時は大人と一緒に真剣に追いかけまわす。そして、捕まえ、絞めたあとはさかさまに吊るし静かに、時にはそれをじっと見ながら、死ぬのをまっている。その時にわとりの始めは暖かくだんだん消えて行く体温が手に伝わる。そして骨の中までしゃぶって丁寧にいただく。キリスト教の習慣でいただく前に「ディオス・レ・パゲ」(神様が与えて下さった)といい、動物には「アディオス」(さようなら)という。命をしっかりと見つめるための時間が流れている。

 農業


 この地域で栽培される換金のできる作物には、森林栽培の有機無農薬コーヒーの他に、農薬を投与するナランヒージャ、モロチョとよばれるトウモロコシ、豆類、カブヤ、さとうきびがある。さとうきびは主に加工をし、アグワルデンテと呼ばれる蒸留酒やパネラと呼ばれる黒砂糖の固まりという形で出荷される。しかし、月々の収入は、市場の価格次第であるので、変動が激しい。現在はどれも価格が暴落している。都市とアクセスの悪いフニン村にとっての売り先があるのは、アグワルデンテとナランヒージャくらいである。アグワルデンテは、生産にかなりの労働力が必要とされる。しかし2001年現在、国内販売価格はかなり安定している。

 



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