NO MORE TANKS FOR WAR, TANKS FOR PEACE!

 

ブッシュ大統領のテキサスの家、見たことある?一件丸ごと雨水利用をしている家。
「どうしてTANK(雨水タンク)の好きな人がTANK(戦車)を好きなんでしょう?」
そう言ったのは、Dr.RainWaterこと村瀬誠さん。東京墨田から世界に発信する雨水利用プロジェクトのブレーンであり、墨田区役所の一職員である彼が、年末にロレックス賞を受賞。そしてピースウォークのあった1月18日のこと、プロジェクトに関わる人があつまってお祝いパーティーをした。彼の相棒であり墨田が生んだ雨水の職人、われらが徳さんは「最初に仕掛けたのは私です」というスピーチを述べた(笑)。


「やってみてから、雨に生かされていることに気づいた。」最初のきっかけは、都市型洪水の対策。いわば都会人のエゴだ。両国国技館の屋根に降る雨水を、一端溜めて再利用してから排水すれば解決に近づく。当時保健所の一職員だった村瀬さんは、思い付いたことをすぐに提案書にした。それを受け取った区長は区役所の重役を会議室にあつめて即決定。プロジェクトは開始され、すぐに相撲協会までもを動かした。
(お相撲さん200kg×人体の水分量70%×幕内力士だけでも40人=水何トン?)


「力水」ー水には不思議な力が宿ると信じる、その儀式が江戸から今なお続く国技館。やがて8か国語に訳され伝わることとなる雨水利用が、そこで始まったことは、単なる偶然とは思えない。黄色い総武線からあの緑の屋根を見る度に、わたしは下町出身であることが少し誇らしくなる。そこを少し過ぎると、隅田川。村瀬さんにはこの町並みの屋根が小さなダムに見えるという。


屋根がダムに見える人がいれば、水がドル箱に見える人も。ペリエ社の元社長は、石油やワインよりも水にビジネスチャンスがあると公言している。利益がうまれるところには戦いがおこる。そういえばイスラエルの占領する地の地下には例外なく地下水源があるって聞いたことがある。占領下のヨルダン川西岸にあるパレスチナ人の町、ヘブロンやベツレヘムでは、水道の蛇口から水が出るのは2週間に一回、数時間程度しかないのにパレスチナ人居住地域から少し離れたユダヤ人入植地では、子供たちがプールで遊んでいるし、水をやらないと枯れてしまう芝生も青々としてるそうだ。


21世紀には水戦争が起こる。村瀬さんはそうなる道筋をこう説明した。(今書いたパレスチナの例のように)かつて四大文明が栄えた土地は水戦争の火薬庫となっている。世界のあちらこちらで進行する都市化の勢いは、中東でも加速するばかりだ。その都市で水が不足しはじめれば、関心は川の上流へ。上流が他の国なら戦争が起きる。だからこそ、雨水。大都市に広く雨水利用を広めてしまえばそれが防げるかもしれない。


「わたしの夢は、世界の人たちに雨水を有効に利用してもらい地球を救うこと。水戦争をなんとしても阻止したいと思います。みなさんの御協力をお願いします。」
はげちゃびんのおじさんが、はっきり『私の夢は・・・』と人に伝える。カッコイイとは、こういうことだ。やがては海にそそぐ一滴とは、きっとこういうことだ。
その一滴は世界中でいくつもの流れになりつつある。バングラディッシュのある地域では、住民が砒素の溶け出した井戸水を飲んでいた。村瀬さんと徳さんは、地元NGOと協力をして雨水利用と減菌のシステムを考案。台湾では世界で始めての全雨水利用動物園をつくるコンサルティングをした。カバはすごく沢山の水を使うんだって。北京オリンピックは全面的に雨水利用を取り入れる方向で進んでいるし、ウインドファーム社ブラジル支部のクラウジオは訳書“Aproveitamento de agua da chuva”を出版したばかり。


世界中で水源の汚染が進行している。安全な水を手にすることのできない人が、今世紀半ばまでには10億人になるという。食物を供給している農村の環境を破壊せずに人々の生活を維持するためには、都市部が雨水を利用する他ない。「植物用、汚水処理、洗濯」、雨水の使い道は実はいろいろある。カンタス航空のファーストクラスとビジネスクラスは、機内で雨水の(ガラス)ボトルが配られる。エコノミークラスがミネラルウォーター。問題は空がキレイかどうかだけ。じゃあ空をキレイにしよう。


雨はインドからやってくる。南北循環でヒマラヤにぶちあたって、雲南で雨を降らせる、それが「龍」の伝説を生み、そして日本へ。日本の雨はアジアの雲からできている。雨で世界はつながっていることを、村瀬さんはシャーマンみたいに話した。そこにあつまった全員が、胸のすくようなワクワク感のなか、平和な美しい雨を思った。


お祝をしようと思ったのに、受け取ってしまった。発想はひとりでも動かすのは現場。どうしてこんなに素晴らしいプロジェクトチームなのか分かった気がした。
村瀬さんの想像する何百万の小さな屋根ダムが、「自然を征服」という戦争の象徴である、巨大なダムをなくすかもしれない。考えてみれば、ダムづくりも戦争と同じ。沢山のいのちを奪って作るのは何のため?


戦争を防ぐことは、「いまここにあるもの」を見つめること。
それを自分のなかに溜めること。そして人に伝えること。
藤岡雨(わたしもインドの雨からできてる)

 



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